「実は、今、学校に行ってないんです…」
先日、ある生徒の保護者の方からお電話をいただいたときのことです。
仮に、その生徒のことをAくんと呼びたいと思います。
私(塾長)も、Aくんのお宅に連絡しようと思っていたところでした。
実は、Aくんが1週間ほど塾も休んでいたからです。
Aくんは、優しくて責任感の強い生徒でした。
そのような性格の生徒ということもあって、今まで1週間も塾を休むことはありませんでした。
ですので、私も何かあったのかなと心配していたんです。
すると、お母さんから現在、不登校だということを告げられた次第でした。
これには、私もびっくりしました。
なぜなら、彼が不登校になるような様子も雰囲気も、まったくと言っていいほど感じなかったからです(もしかしたら、私が彼のサインに気づいてあげられていなかったのかもしれませんが)。
なぜ、Aくんは不登校に…
お母さんからお話を伺うと、Aくんは学校の先生からいろいろな仕事を任されることが多かったそうです。
そして、優しくて責任感が強いがゆえに期待に応えないといけないと感じ、本音では「イヤだな」と思っても頼まれたことをきちんとやらないといけないと思ってがんばってきたそうです。
しかし、ちゃんとやったとしても「これでよかったのかな?」と気になってしまうみたいで、最終的には学校に行くこと自体がしんどくなってしまいました。
けれど、自分がしんどいことをお母さんに言うと「お母さんが自分を責めるから」とお母さんにもずっと言えなかったんだそうです。
私も学校が苦手でした
その話を聞いて、私はAくんの気持ちがとてもよくわかりました。
なぜなら、私自身も学校が苦手だったからです。
私は、みんなと同じことを同じペースでやらないといけないのが苦手な子どもだったんです。
例えば、みんなで行進するとか、体育館でみんなで体育座りをして先生の話を聞くとか…。
勉強も、自分のペースでやりたいと感じていました。
そのため、まわりから指示されたり強制されたりが苦手だったんですね。
ただ、私の学生時代は「そんなの甘えだ!わがままだ!」といった風潮があり、また親や先生にも言えず、なんとかガマンしながら学校に通わざるを得なかったのが実情でした。
だから私は、Aくんのお母さんからお話を聞いた後日、Aくんに会ったときに「ちゃんと自分の気持ちが言えて偉かったね」と伝えました。
社会人になっても変わりませんでした
私に関して言えば、大人になり三井塾をはじめる以前に別の学習塾に勤めていたときも、まわりと同じことをするのが苦手で仕方ありませんでした。
塾の先生というのは、一般的に始業時間が午後からになります(仕事終わりが、深夜近くなるからです)。
ですので、午後に出社するのが“暗黙の了解”のようになっていました。
けれど「始業時間前から仕事をはじめたい」こともありましたし、逆に「今日はゆっくり仕事したい」という日もありました。
手前味噌ではありますが、結果的にはトータルの労働時間や成果としてはまわりの同僚より高かったですし、サボったりもしていませんでした。
しかし、自分のペースで仕事を進めたいという私の姿勢は、あまり快くは思われていませんでしたね。
でも私としては、毎日働く時間は何時〜何時までと決められるのが苦痛で仕方なかったんです。
だから、自分のペースで仕事ができるよう三井塾をはじめたという側面もあります。
高校・大学進学への選択肢は増えています
さて、私自身、上記のような経験をしてきたこともあり、これまで私および三井塾では不登校に関するご相談にもお応えをしてまいりました。
その経験から申し上げますと、不登校のお子さんも親御さんも、ほとんどの方が高校・大学には進学したいという気持ちを持っておられます。
そこで、とりわけ近年、選択肢として提案することが多いのが「通信制」の学校です。
昔は「通信制」と聞くと、芸能人が高校卒業の資格を取るために通っているイメージだったり、不登校で学校が怖いお子さんが通っているというイメージがありました。
しかし現代は(病気の症状として)朝起きることが難しかったり、無理して行けば行けなくもないけれど、通いつづけるには心がしんどくて難しいお子さんなども通うようになってきています。
いずれにしましても、現代は通信制の学校にネガティブな印象はありません。
その理由としては、大きく2つあると私は考えています。
ひとつ目の理由は、東京では通信制の学校が増えてきており、その実態は生徒のニーズに合わせた実に多様性のあるものだからです。
そして、ふたつ目の理由は、全日制の学校にもひけを取らないほどの大学進学の実績もある学校が増えてきているからです。
通信制高校ってどんな感じ?
「通信制」と言っても、週1〜3日くらいは登校するような学校もあります(同じ学校でも、月によっては全然登校しない時期があったりもします)。
「つねに登校は大変だけれど、学校にも行きたい」という生徒のニーズに対応しているんですね。
また、授業のスタートも少し遅め(9時ぐらいから)で、電車の混雑を避けて登校することが可能な学校もあります。
つぎに、通信制高校の授業は、学校によってさまざまですが予備校の先生による映像授業を見て、毎月レポートを提出する学校があったりします。
レポートは、文章を書くというよりはいろんな教科の問題を解いて期日までに提出するといった形式が多いようです。
先ほど、登校もできる通信制高校があるとお伝えしましたが、学校に行ったときには体育などのリアルじゃないとできない授業を受けます。
さらには、部活や委員会活動もあって、全日制の高校とほとんど変わらない通信制の学校もあります。
そのような学校では、途中から全日制の高校に行きたくなった場合、コース変更ができる学校もあるんですね。
このように、現代の教育環境は子どもたちが最適に学び成長しつづけられるように柔軟に整備されてきているんです。
ですので、将来を考えたときには通信制の学校も非常に有力な選択肢のひとつになります。
誰も、何も悪くありません
大切なことは「これからをどうするか?」だと思うのですが、そうは言っても「どうして(お子さんが)不登校になっちゃったんだろう?」と気になってしまわれる親御さんもおられると思うんですね。
また、とりわけお母さんにおかれましては、ご自分を責めてしまわれる方もいらっしゃいます。
ですが、お母さんがご自分を責めるお気持ちも、お子さんがご両親に本当のことを言えなかったことも、お互いを思いやってのことのはずです。
すべては思いやりの結果であり、それって素敵なことだと私は思うんですね。
だから、誰も何も悪くはありません。
そして、私、三井自身が学校や集団が苦手だったからこそ、今のこの経験が絶対に将来に役に立つと強く強くお伝えしたいと思っています。
先ほども書いたのですが、私は小学校6年間が長くてつらかったんですね(※決して、いじめられていたわけではありません)。
ですが「学校に行けない=悪」のような時代でしたので、親にも相談ができませんでした。
だけど、そのおかげで、私はAくんの気持ちがわかり寄り添うことができました。
そして、Aくんにとっての最適な未来をAくんとお母さんと一緒に考えることができました。
もしかしたら、Aくんが親になったとき、そのお子さんが同じような悩みを持つかもしれません。
そのときに、子どもの気持ちが十分にわかってあげられる親だったら、それはとっても素晴らしいことですよね。
そう考えると、今、目の前の状況はつらかったり、苦しいものかもしれませんが、その先の未来に目を向けたときには、今がとっても素晴らしい貴重な時間であると思えないでしょうか?
もちろん、そうであると私は断言いたします。
自分だけの得意が必ずある!
くり返しますが、不登校になったのは育て方が悪いからだとか、遺伝だからというようなことではまったくありません。
そして、私自身が学校や集団が苦手な学生時代を経て、今、申し上げられることは「学校や集団が苦手というのは、スポーツが苦手と同じようなものだ」ということです。
人は、誰しも得意なことがありますし、苦手なこともあります。
それでいいと思います。
誰も、完壁な人間はいません。
仮に、学校が苦手だったとしたら、きっとそれ以外の得意なことがあるはずです。
ぜひ、それを見つけてほしいと思います。
うつむいた過去は変えられる!
このページでお伝えしたように、現代は不登校でも集団が苦手でも高校はもちろんのこと大学進学も十分にめざせます。
というよりは、むしろ不登校だからこそ大学進学しなくちゃいけないと私は思うんですね。
なぜならそれは「過去を変えるため」です。
「不登校だったし(今でも)集団が苦手なとこはあるけど、だからこそ自分に合った道を選ぶことができたし、そして今、私はやりたいことができてます!」
そのようなストーリーを、あなたは描くことができます。
そのためにも、大学には行ってほしいと私は思っています。
しかしそれは、決して就職するために大学に行ったほうがいいということではありません。
自分の好きなことや、得意分野に気づくためです。
大学は、中学・高校と違って、全国からいろんな人たちが集まってきます。
そして、同じような年数を生きてきた人たちの中で「こんな考え方する人がいるんだ!」といった気づきを得ることで、自分の好きなことや得意分野に気づくことがあります。
狭い範囲の人たちとの付き合いだけだと、価値観が似通ってしまいます。
むしろ、いろんな人たちとの出会うことで、自分をより深く理解するチャンスを手にしてほしいと思います。
あなたらしい人生を歩んでください
きっと多くの大人が、子どもたちに自分の好きなことや得意分野を見つけてほしいと思っていることでしょう。
そしてそれはできるなら、社会に出て働くまでの間に見つけたほうがいいとも思っているはずです。
そのためにも、大学に通うことは必要だと思いますし、学生である時間が長いほうが自分の好き・得意が見つかりやすいと私は思います(もちろん、長ければいいというわけではありませんが)。
ちなみに大学は(ご存知のとおり)、中学や高校に比べて集団を強いられることはほとんどありません。
必修科目以外は、好きな科目を選択することができます。
自分が学びたいことを、自分のペースで学べます。
大切なことなので、最後にもう一度だけ伝えさせてください。
もし、これまで不登校について自分を責めてしまうようなことがあったとしても、未来では必ずあなたが望んだ人生を歩むための大きな支えになってくれます。
「不登校だったから、ボク・ワタシは望んだ人生を歩んでいる!」
そんなストーリーを、あなたは描くことができます。
そしてあなたは、未来も過去も現在も望んだように人生を創造することができます。
どうかここから、さらに自分らしい人生を歩んでください。
そしてこのメッセージが、今のあなたに何かの役に立ったのなら私としてはとてもうれしいく思いまう。
最後まで、読んでくださって感謝いたします。
追伸
もし、自分らしく人生を歩む途中で、勉強面でわからないことがあったり、心配や不安なことがあったとしたら。
また、自分の好きや得意を見つけるうえで、うまく行かないことがあるとしたら。
当塾が、何かお手伝いできることがあるかもしれません。
とりわけ、今、目の前の大きな課題である勉強・進学に関することは、たくさんの知識・経験・ノウハウがあります。
それが役立つ思われたのでしたら、一度、当塾にご相談いただければと思います。